雑談はコーヒーと共に

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素晴らしい宗教学の入門書『ICU式「神学的」人生講義 この理不尽な世界で「なぜ」と問う』

私が宗教学が好きなことはブログでも書いてますが、最近良い本に出会えたので紹介します。

本の題名は『ICU式「神学的」人生講義 この理不尽な世界で「なぜ」と問う』。なんと、お世話になった方の本でしたw。ブックオフで英語教育関係の本を漁ってたら偶然見つけました。恩師と呼ぶほどの関係ではないですが、そう呼びたいくらい色々なことを学びました。授業にもよく参加しましたので、「これは買うしかない!」と即買いしました。にしてもこんな本が私の近所のブックオフで売っているとは、これも運命か。

本の説明

キリスト教大学の中にはキリスト教や聖書の授業が必修になっているものも多いかと思います。中高もそうですよね。この学校はICUの必修科目「キリスト教概論」の内容をまとめたものです。ICUはクリスチャンの教授が多いので、この科目は学期によって担当する教授が違うと思うのですが、この本は筆者が行ったキリスト教概論の内容を本にまとめたものでしょう。

内容はまさに議論。そう、このブログの目標に近い!(趣味に突っ走ってるので全く議論するような記事書いてませんがね…) ありがとう。こんな本を書いてくれてありがとう笑。 教授が特定のテーマをもとに生徒と議論をしていきます。例えば、「神は善い神ならなぜこの世に悪が存在するのか」というテーマ。神について考えたことのある人のほとんどが一度は抱く疑問ですよね。そういった疑問に、教授なりの、キリスト教的観点から答えつつ、色々な意見を持つ生徒たちと議論をしていきます。人生に深く関わるテーマをキリスト教含め色々な視点で見ていくので、内容は浅くて広い感じです。悪くいえば、色々な意見を集めた授業という設定なので、キリスト教的視点であろうと他の視点であろうと、どれかの意見には偏らずに丸く収めようとする側面もあります。「答えてないじゃないか!」と思う人もいるかもしれませんが、読む人にはその公平性の担保の重要性と、この本が「考えるきっかけ作り」を重視してることを評価して欲しいです。今あげた特徴から、この本は、宗教学・哲学の入門書としてものすごく良いと思います。

この本の良いところは、キリスト教の紹介や「弁明」に執着せず、色々な価値観や意見を持った生徒たちの意見を否定せずに話し合っていること。おそらく授業で実際に存在した生徒や、実際に出てきた意見をもとに生徒のセリフが書かれています。中には「先生はクリスチャンなのでバイアスがかかった意見を持っていると思う」といった発言もちゃんと書かれています。もちろん「ICU式」であり「神学的」なので、キリスト教的視点は最低限説明されるようにも書かれていますが、それでも議論の公平性は保たれていると思います。

ちょっと面白いのが、この生徒たちみんな哲学者かってくらい色々な哲学や宗教の引用がなされること。もちろん教授は引用できるとして、生徒たちも積極的に哲学者の考え等を引用して自分の意見を展開していきます。本当に大学生か?笑。まあ実際は、授業中に出てきた意見に筆者(教授)がオーソリティによる根拠を足しつつ本に書き記した感じでしょうか。なんせ国際基督教大学なので哲学者や宗教家に詳しいスーパー受講者もいたのかもしれませんが。先ほど浅く広く、と書きましたが、興味を持てば自分で深く調べられるように情報源や引用元が幅広く存在しています。本は浅く紹介しますが、読者が自分で深く調べることができるよう配慮してると感じました。すごい。

感想

私、この方のキリスト教概論は受けてませんが、この方の聖書学関係の授業は何回か参加したことがあります。基本的には事前に読んでおく宗教や哲学関係の資料が配られ、特定のテーマに沿って議論をする形式が多かった気がします。そう、まさにこの本の中で行われている議論と同じです。参加したことのある人間なので自信を持っていいますが、本当にこんな感じの議論が繰り広げられてました。

1日1章くらいのペースで読みましたが、まるで大学生に戻ったかのような気分で読むことができました。オムニバス形式ですしとても読みやすかったです。会話文なので宗教学の本の中では読みやすい方ではないだろうか。

宗教や哲学に興味を持った人なら誰でもおすすめと言える本に仕上がってると思います。個人的には続編が欲しい。違うテーマを扱った2冊目ができないだろうか。先生〜、2冊目待ってます!(笑)

実は似た本で、ICUの附属高校で行われていたキリスト教概論の内容をまとめた本も存在します。それの紹介はまた気が向いたらしようと思います。