「雨の匂い」という感覚
ここ最近は梅雨らしく雨もそれなりに降っている気がする。
しかし同時に、雨が降るのか降らないのか微妙な天気も多い。自転車通勤をしている僕としては雨が降るか降らないかは重要なのだが、その時ふと起きた雑談が「雨の匂い」についての話。
ボリビアに住んでいた頃から、「雨の匂い」は感じていた。周りの友達も確かに感じていた。なんか雨が降る時にそれっぽい匂いや湿り気を感じるのだ。特に鼻で。僕たちはそれを「水の匂い」と呼んでいたのを覚えている。ボリビアはスコール雨も多かったし、急に降り出す雨をすぐに感じ取って建物に入る能力は結構重要だったと思う。
ふと思い出したが、『ダイナソー』という昔の恐竜映画でも、
「水の匂いがする!」
と言って水を掘り当てるシーンが印象に残っている。
自分からしたらごく自然なシーンなのだが、東京で高校に通っているときに、
「あ、雨の匂いがする」
と言うと、
「…?雨の匂い?なにそれw」
みたいな反応が返ってきてびっくりしたのを覚えている。東京人は雨の匂いを感じないようだ。全員ではない思うが、確認した友達の全員がそんなの知らんって感じだった。
ちょっと気になって同じボリビア出身の幼馴染にも
「雨の匂いってあるよね」
と聞いたら、
「…あるね」
と答えてくれたので安心したのを覚えている。
もうそれから結構月日は経ってるけど、職場で雨が降るのかどうか気になって外を眺めていたら、同じように気になっていた同僚が
「雨の匂いはある?」
と自然な流れで聞いてきたので、窓を開けて
「あーないね。しばらくは降らないか。」
と自然に答えてしまった。そしてすぐに気がついて、
「あれ?雨の匂いって感覚分かるの?」
って聞いたらその同僚は頷いていた。隣の上司もうんうんと頷いていた。
「へー、東京だと誰も分かってくれなかったけど、九州人は雨の匂いを知ってるのか」
と話しながら、ちょうど近くに東京出身が居たので聞いてみたら
「雨の匂いという話は聞いたことあるけど自分は感じたことはない」
と答えてくれた。
他の仕事仲間も入ってきて、
「確かペトリコールっていうらしいですよ。」
と、名前を教えてくれた。ほう、研究もされていて名前もつけられているのか。
チラッと調べてみると、ギリシャ語で「石のエッセンス」を指すらしい。
言われてみればペトリは石だ。 "petrify"は「石化」や「(動揺による)硬直」を指す英単語。
ハリー・ポッターの石化魔術も "Petrificus Totalus" (完全石化)だ。ああ、ネビル君…。
ひとまず、自然環境が多い地域で育った人は雨の匂いがわかる人が多いのかな?という推測を立てつつ、新しいことを学べて満足。にしても、石に溢れているギリシャの国の言語で「石のエッセンス」と言うのはなかなか僕好みの表現だ。実にギリシャらしいと思う。
今日は「ですます調」ではなく「だ・である調」を使ってみましたが、案外慣れないものです。でも自分の思考に近いものを文章化できたのちょっと楽しい。
皆さんは雨の匂いを感じたことありますか?